この数年は、同世代のご両親の訃報が多かった。失う前にいろいろと聞いておきたいこと、あるなぁ、あるんだけれどなぁと日々に追われるばかり。もう一度聞いてみたいなとたまに思っては忘れていた母の話がある。
母は高校生の頃、通学するのに歩いて40分(?)くらいの駅までの道のりを往復していたそうだ。その一部にケモノ道のような、さすがに平和な田舎でも若い女の子を1人で歩かせるには危険すぎるという(いやもしかするとケモノに襲われるとかあったのかも?)真っ暗闇な林道が少しだけあり、祖父がその手前まで毎日迎えをしたのだそう。
ある日、目も眩む青白い光がどこからともなくシュバシュバと音を立てて近づき、祖父と二人で腰が抜けるほど驚いたそうだ。それはごく近くを通り過ぎていったという。「足元も見えないほど真っ暗なのに、遠くの木の一本一本まで見渡せた」という。祖父にその話を直接聞く機会はなかった。
お盆に帰省した時、母が残念そうに「あの日、同じものを見た人がいたって、姉さん(私の叔母)が言ってたのになぁ、その人の名前、聞かずじまいになっちゃった」という。年に数回は会っていた姉妹だが、叔母は数年前に亡くなってしまった。
やっぱり、聞けるうちに聞いておかないといけないね。
母が通信で楽しんでいる川柳講座、そのやりとりがとてもよかった。こういうものも、ゆっくりこうして見る時間はもうそんなにないのだなと思ってしまう。
川柳といえば、講師をしている東京デザインプレックス研究所の特別講座で「街に出て顔に見える物を撮影し、一句書いてインスタグラムに投稿し、みんなの投票で優秀作品を決めよう」というワークショップを行いました。特設アカウントは今もそのままです。 #シミュラクラ川柳とは、3点あるものを人は顔として認識する現象に「シミュラクラ」という名前がついていることからでした。
小中学校の先生だったおばさんの遺品から。沢山あったけどこれが一番気に入ってる。